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「ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた」観賞

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パイをつくる既婚女性のほろ苦くも幸せな人生。
人生はパイのように色とりどりだが、決してパイのようには甘くない。

監督のエイドリアン・シェリーの名は、不勉強で初めて知った。まず主人公の自立を描く過程が面白い。アメリカの片田舎でDV気味の夫に怯える主人公が耐えに耐えって感じじゃないのも現代風でリアル。不倫もしてしまう彼女の大らかさというかポジティブな感じがこれまた軽快でリアルである。主人公ジェナ役のケリー・ラッセルは超美人ってわけじゃないが、パイをつくるポジティブな明るい表情に魅せられてしまう。そんな魅力的な彼女が次第に丸みを帯びていく過程で、母性の強さを表面化していくところに共感と説得力が与えられている。パイつくりが彼女のこころのバランスをとるための行動である。そして最終的には人生において優先順位をきちんと示すことができる主人公の言動が、爽快で、万人に受け入れられる要素となっている。
この作品には悪役がいないというのが私の結論であるのだが、理由としてはDV夫でさえ、孤独で淋しがり屋であるという面を描いているということ。終盤、夫の泣きじゃくる場面で彼女への愛(身勝手であるし、表現方法が大人っぽくないが)を感じさせた。なので最終的に主人公の夫への仕打ちは当然とみる傾向が強いのだろうが、そこは受け入れるという選択肢があってもよかったのではとも感じる。

優しく大らかな監督の視点。主人公の子供の役を監督の幼い娘が演じたということだが、監督自身の実体験である母性の目覚めとその強さを軽妙なタッチで描ききった秀作であると思う。だからこそシェリー監督が既にこの世にはおらず、これは遺書であり、すべてのひとへの人生賛歌であったと感じるラストシーンには涙したのだ。

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2008年4月

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