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「孔雀~我が家の風景~」

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現在仕事の関係で中国の勉強をしてるんだけど、その一貫として去年NHK・BSでオンエアされ録画してた本作を鑑賞。去年の初めに劇場公開された本作が去年の秋にオンエアされているのはあまりにも早すぎるがNHKが出資してるのかもしれない。

いや、驚いた。これは「長江哀歌」よりはるかに傑作です!去年見てたらベストテンに入れてたかも…。

70年代の家族の一代記なんだけど、まったくもって予測不能。
薬品工場で瓶洗いの仕事をしているヒロインが突然空から降ってきた(!)演習中のパラシュート部隊の隊員に一目ぼれ。入隊を希望するものの試験に落ちて、それでもあきらめきれず自作のパラシュートをチャリに括りつけて往来を走る(迷惑だって!)。パラシュートは母親に捨てられるんだけど、ソレを拾った男から取り戻すために大胆にパンツを脱ぐ(狼狽した男は思わず猟銃で自分の足を撃ったりする)。そんな予測できない少女の行動をカメラは淡々と見つめる。なるほどコレはブレッソンの「少女ムシェット」の中国版なのね。ところがソレすらも映画は裏切る。突然彼女はそれまで画面に一切出てこなかった冴えない男と結婚してしまうのだ(しかもチャリンコでお嫁入り)。まだ映画が始まって40分ほどだ。どーするんだと思ってたら映画は再び冒頭の一家の食事シーンに戻る。今度は知恵遅れのデブの長男が主人公になって別の物語がはじまるのだった。
知恵遅れだけあってもっと行動は予測できない。何かやらかすたびに半殺しのメにあうのも中国的で笑ってしまう。それでも両親の愛情の注ぎ方は異常で、そのせいで妹や弟は肩身の狭い思いをしていて、妹の奇行はそのことが原因なのだとわかってくる。兄を毒殺(!)しようと妹と弟は計画するのだが寸前で母親にバレる。夕食の席で母親は兄の可愛がってるアヒルに毒を無理矢理飲ませ苦しむアヒルを見せて彼らの残酷さを知らしめるのだった(この母ちゃんも異常だよ!)。ちなみに毒を飲ませてアヒルが死ぬまでワンカットの長まわしだ。さすが中国映画、動物愛護協会なんか怖くもなんともない。
終章はまた冒頭の家族の食事シーンに戻り、末の弟を主人公としてそれぞれの登場人物の顛末が語られてゆく。デブあんちゃんは東北の田舎から買ったと思われる娘と結婚して屋台を出す。オネエチャンは離婚して家に戻り落ちぶれたパラシュート隊員と再会。不倫の末結ばれる。弟は都会に出てチンピラになり指をつめてカタギになりヨメハンとガキを連れて家に戻ってくる。ちなみにその時、家族がテレビで観てるのは健さん主演の「君よ、憤怒の河を渡れ」だったりする。
けっして共産党政府の模範になるようなことはないダメ一家なんだけど、愁嘆場は極力省略し必要最小限の情報提示だけで、ひたすらたくましい庶民の静かなバイタリティを感じさせる。見事だ!

監督の顧長衛(クー・チャンウェイ)は「赤いコーリャン」「覇王別姫」などで知られる中国映画最高のカメラマン。ハリウッドに招かれてアルトマンの「相続人」なんかも撮ってるんだけど本作は初監督作品。本作でデビューした主演のチャン・チンチューは「ラッシュアワー3」にも出てたが「七人の侍」のリメイクにも主演が決定してるらしい。(て、ことはチャン・ツィイー降りたの?)

しかし、中国はわからない風習だらけ、見えない心情だらけだ。ホントに中国映画なんか書けるのだろうか…不安である。

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