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「ハリウッドの妻たち」

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「第49回ゴールデングローブ賞」を見直していて、この年のテレビ部門で作品賞にノミネートされたシリーズのうち、日本に入ってきていないものが目立つのに気づきました。コメディ・シリーズは、そもそも受賞作の"Brooklyn Bridge"が日本では見られませんでした。候補作では、"Cheers"、"Evening Shade"、"The Golden Girls"も未輸入のはずで("The Golden Girls"は第1話のみが放送されました)、結局、「TVキャスター マーフィー・ブラウン」がNHK総合で放送されただけです(但し、途中で打ち切られました)。ドラマ・シリーズはと言うと、受賞作の「ノーザン・エクスポージャー たどりつけばアラスカ」だけでなく、候補作の「LAロー」、「ビバリーヒルズ高校白書」も確か全エピソードが日本でも放送されたし、「ロー&オーダー」もDVDボックスが1シーズン分のみですが発売されているので、コメディ・シリーズよりはずっとましな状況です。唯一見られないのが"I'll Fly Away"というシリーズです。これは1960年代の南部が舞台になっていて、サム・ウォーターストン扮する地方検事と、レジーナ・テイラー扮する黒人家政婦が主役のドラマだそうです。かなり良質の作品らしいのですが、わたしはゴールデングローブ賞授賞式で抜粋されていた一場面しか見たことがありません。アメリカでDVD化されたら取り寄せたいシリーズです。

また、「TVキャスター マーフィー・ブラウン」でコメディ部門の主演女優賞を獲得したキャンディス・バーゲンと、「羊たちの沈黙」で映画部門の主演男優賞を逃したアンソニー・ホプキンスが客席にいるのを眺めていて、思い出したことがあります。映画ファンにとって、2人の共通点は<腹話術>でしょう。キャンディス・バーゲンは、人形のチャーリー・マッカーシーを操る腹話術師エドガー・バーゲンの娘です。ホプキンスはリチャード・アッテンボロー監督の「マジック」(1978年)で腹話術師を演じました。それ以外に、2人にはアーロン・スペリング製作のミニシリーズ"Hollywood Wives"(1985年)に出演したという共通点があります。

"Hollywood Wives"は、ジャッキー・コリンズ(ジョーンの妹)の同名小説を映像化したものです。原作は1986年に講談社文庫から翻訳が出ていて、「ハリウッドの妻たち」という邦題だそうです。わたしは原作を読んだことがなく、WOWOWで91年ごろに放送されたミニシリーズを見ました。そのときの邦題も恐らく原作と同じだったと思います。これを書くにあたり日本語のサイトを検索してみましたが、「ハリウッドの妻たち」の情報は原作のものしか見当たりませんでした。ミニシリーズについて、覚えていることと海外のサイトで調べたことを書き出してみます。

・キャンディス・バーゲン→元脚本家だが自信を喪失してアルコール中毒気味。ロデオドライブの一流ブランド店で万引きしてストレスを解消している。

・アンソニー・ホプキンス→有名プロデューサー兼監督。妻(ステファニー・パワーズ)がありながら女優の愛人(スザンヌ・ソマーズ)に入れあげている。

・ジョアンナ・キャシディ→アンソニー・ホプキンスの先妻。キャンディス・バーゲンの親友。

・アンジー・ディキンソン→ベテランのエージェント。新人男優をセックス・シンボルに育て上げるのが得意。

・スティーブ・フォレスト→キャンディス・バーゲンの夫。かつてアンジー・ディキンソンがスターにした俳優。カムバックを狙っている。

・ロバート・スタック→映画界を代表するスター。

・メアリー・クロスビー→ロバート・スタックの娘。スティーブ・フォレストの浮気相手。

・ロッド・スタイガー→映画会社重役。アンソニー・ホプキンスが作る映画に口を挟む。

・ロディ・マクドウォール→エスコート・サービスの経営者。

・アンドリュー・スティーブンス→売れない新人男優。ロディ・マクドウォールのところでジゴロとして働くうちアンジー・ディキンソンに見出される。

・アンドリュー・スティーブンス(二役)→謎の男。

このほか、キャンディス・バーゲンの母(つまりエドガー・バーゲンの妻)フランシス・バーゲンも出ていて、ロバート・スタックの妻の役でした。

ご覧のとおり出演者はなかなかの顔ぶれですし、頭を空っぽにして楽しむのにぴったりのエンターテインメントが出来そうな設定に見えますが、かなりひどい作品でした。演出は、60年代にターザン映画を数本手がけ、テレビではリンク&レビンソンの「殺しの演出者」を担当したロバート・デイです。キャンディス・バーゲンもアンソニー・ホプキンスも、このときはキャリアの浮き沈みの中で、最低点にいたのだと思います。特に、ホプキンスはスザンヌ・ソマーズと一緒にいるとき×××するという役回りで、目も当てられませんでした。日本での放送がアメリカより5、6年遅かったため、わたしは最低の時期の2人と、当たり役をつかんで見事に第一線に復帰した時期の2人を、ほぼ同時に見ることになったわけです。

製作のアーロン・スペリングは、1985年当時、「ダイナスティ」をヒットさせていました。考えてみたら、「ダイナスティ」のアレクシス役で注目の的になったジョーン・コリンズこそが、のちのアマンダ・ドノホーやジェーン・シーモアやヒュー・ローリーにつながる、イギリス出身でありながらアメリカの連続テレビドラマに出演して知名度を上げた例の走りなのかもしれません。

「ハリウッドの妻たち」は、「ダイナスティ」の成功に倣った企画なのでしょうが、ギルティー・プレジャーとしても失格のミニシリーズでした。もしケーブルテレビなどで放送されていても見なくてよいと思います。

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