"99 Film Scenes for Actors"
これはバンタムブックスではなく、エイボンから1999年に出た本です。編者はAngela Nicholasという女優で、アクターズ・スタジオで演技の勉強をしているときにシーン・スタディの新しい素材を探していて、映画のシーン・スタディ・ブックというアイデアを思いついたそうです。先行するバンタムブックスの本の編者Joshua Kartonに連絡をとり、アドバイスをしてもらったと、序文で感謝の言葉を述べています。
バンタム版と異なる点は、比較的新しい作品とインディーズ映画を中心に選ばれていることと、登場人物の組み合わせによる区分けを行っていないことです。場面は映画タイトルのアルファベット順に並んでいて、一人の男と一人の女のためのシーンといった記述は本文では省かれ、巻末のインデックスに追いやられています。これは意図的で、一人の男と一人の女のシーンでも女優2人で演じてみるというような実験を推奨しているのです。この本をどのように使ってシーン・スタディをしたらよいか、編者のNicholasが演技コーチのMark Monroeにインタビューする形で、俳優志願者たちへヒントを与える文章が付いています。その付録を読んでみましたが、"a commitment to the truth"とか"emotional spontaneity"など、メソッド演技の用語らしきものが頻出して、よく理解できませんでした。結局、Karton氏の本と同じで、俳優志望でないわたしは映画の名場面アンソロジーとして読みました。
本書には次のような場面が収録されています。
・「白いドレスの女」(1981年) ネッド・ラシーン(ウィリアム・ハート)がマティ(キャスリーン・ターナー)にアイスクリーム・コーンを買ってやって口説く、出会いのシーン。および、マティの住居に近いバーで2人が再会するシーン。
・「ブロードウェイと銃弾」(1995年) 劇作家のデイブ(ジョン・キューザック)が、戯曲を読んだマフィアのチーチ(チャズ・パルミンテリ)の助言に感心し、作家になる気はないかと問うシーン。
・「クライング・ゲーム」(1992年) ジョディ(フォレスト・ウィテカー)がファーガス(スティーブン・レイ)にディル(ジェイ・デビッドソン)の写真を見せるシーン。ジョディがファーガスにサソリとカエルの寓話を話すシーン。および、ファーガスとディルの会話2シーン。
・「ワンダとダイヤと優しい奴ら」(1988年) ワンダ(ジェイミー・リー・カーティス)が法科の学生の振りをして弁護士アーチー(ジョン・クリース)に近づき、誘惑しようとするシーン。
・「月の輝く夜に」(1987年) ロレッタ(シェール)がロニー(ニコラス・ケイジ)にステーキを焼いてやり、それぞれの死んだ夫と出て行った恋人の話をするうち、ロニーがロレッタを抱え上げてベッドへと運ぶシーン。
・「ザ・プレイヤー」(1992年) グリフィン(ティム・ロビンス)が車の中にヘビがいて動揺したとジューン(グレタ・スカッキ)に話すと、彼女が口説かれていると誤解するシーン。および、グリフィンがジューンの恋人デビッド(ビンセント・ドノフリオ)とカラオケ店で対立するシーン。
・「パルプ・フィクション」(1994年) シボレーの中のビンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)の会話。ビッグマックをフランス語で何と言うか、テレビ番組のパイロット版の意味などについて話すシーン。
・「ダンシング・ヒーロー」(1993年) フラン(タラ・モーリス)がスコット(ポール・マーキュリオ)に1時間だけ自分と踊ってパートナーにふさわしいか判断してほしいと頼むシーン。
・「テルマ&ルイーズ」(1991年) 車の中のテルマ(ジーナ・デイビス)とルイーズ(スーザン・サランドン)の会話。テルマがルイーズもレイプされた経験があると悟るシーン。
・「ワーキング・ガール」(1988年) テス(メラニー・グリフィス)とキャサリン(シガニー・ウィーバー)の初対面のシーン。
全部で58本の映画が取り上げられていて、日本未公開作が数本含まれています。「アニー・ホール」のシーンはJoshua Kartonの本が採用したのと同じですが、ほかは重なっている場面はなさそうです。上記10作品を除く映画のタイトルを列挙します。
「アニー・ホール」「恋愛の法則」「7月4日に生まれて」「ブロードキャスト・ニュース」「マクマレン兄弟」「カリートの道」「チェイシング・エイミー」「クラークス」「ドゥ・ザ・ライト・シング」「ドラッグストア・カウボーイ」「愛の選択」「女優フランシス」「ジョージア」「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」「わが街」「グリフターズ 詐欺師たち」「ジョニー・スエード」「リアンナ」「ライフ・イズ・スイート」「ボーンメッセンジャー 真実の囁き」"Love and Human Remains""Lovelife"「ラブ・セレナーデ」「マンハッタン」「マイ・ルーム」「ネイキッド」「ナイト・アンド・ザ・シティ」"Nina Takes a Lover"「ノー・ルッキング・バック」「アウトブレイク」「愛と哀しみの果て」"Proof"(1994年、オーストラリア映画)「赤ちゃん泥棒」「セコーカス・セブン」「スキャンダル 愛の罠」「シー・オブ・ラブ」「セックスと嘘とビデオテープ」「彼女は最高」「ショートカッツ」「スリープ・ウィズ・ミー」「スウィンガーズ」「愛しすぎて 詩人の妻」「愛しい人が眠るまで」「いつも2人で」「ため息つかせて」「恋人たちの予感」「ぼくの美しい人だから」「鳩の翼」




















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