ヘッダーの始まり


グローバルナビゲーションの始まり
ホームニュース特集インタビュー動画コラムレビューランキングフォトギャラリーピックアップ
最新映画情報V ブログ(選択中)教えて!エンタ業界転職情報フロムジャパンV プラスメールマガジンプレゼント
V BLOG
パンくず式ナビゲーション

「夢想の研究-活字と映像の想像力」

| | コメント(0)

<モンキー裁判>については、NHKが放送した「映像の世紀」(1995~96年)というドキュメンタリーのシリーズもので取り上げられていました。この番組はDVD化されていますが、わたしは放送当時に見たきりです。記憶違いでなければ、裁判所の周囲で猿のぬいぐるみが売られている光景や、休廷中に傍聴人たちにコーラを売っていた人物の日記が朗読で紹介されていました。現在でこそ法廷にカメラが入ることは珍しくありませんが、1925年に行われた裁判ですから、映像記録が乏しくて当然でしょう。「風の遺産」で評決が出る場面では、原作の舞台劇でも映画でも法廷にマイクが設置され、ラジオで評決が生中継されます。これが史実どおりなら、音声の記録は残っていそうです。

<モンキー裁判>と映画「風の遺産」について、わたしが初めて知ったのは瀬戸川猛資著「夢想の研究」(単行本:早川書房、文庫:東京創元社・創元ライブラリ)という本を読んだときでした。この本は「活字と映像の想像力」という副題が示す通り、小説と映画の話題を行ったり来たりしながら、著者の持論を展開する評論集です。同書の「聖域へ」と題する章は、コーランとサルマン・ラシュディ著「悪魔の詩」の話からはじまります。それがまもなくキリスト教原理主義の話題となり、「風の遺産」につながるのです。映像と活字の垣根を越えて話がなめらかに移っていくところがユニークだと思います。

「夢想の研究」のほかの章の題名と内容をいくつか並べてみます。

・謎解き―男だけの世界
「十二人の怒れる男」をヒューマニズムの観点からでなく謎解きミステリーの観点で評価しなおしています。

・獅子王変化
ヴィンセント・プライスが主演した、シェークスピア作品が豊富に引用されるホラー映画「虐殺のカーテンコール」こと「シェークスピア連続殺人!!血と復讐の舞台」を紹介しています。

・からくり兎
アニメーションと実写の合成技術の見事さが話題となった「ロジャー・ラビット」を、これまた謎解きミステリーの観点で評価しています。

・硝子玉とコルク玉
オーソン・ウェルズの「市民ケーン」は、日本人に愛されている有名な謎解きミステリー小説が発想源ではないか、という仮説を立てています。

・もうひとつの顔
ビリー・ワイルダー監督のフィルモグラフィーを振り返って、ロマンティック・コメディーの職人監督という顔とは違う別の顔を浮き彫りにしています。

・太古の祭り
ハロウィーン、冬至、クリスマスの関係を取り上げて、年末年始にくり返しテレビで放送される映画の意義に触れています。

以上の中で「太古の祭り」が本書の特徴をいちばんよく表している章だと思います。「忠臣蔵」と「素晴しき哉、人生!」を並べて論じる突飛さが読み進むうちに解消されて、最後には著者の主張に同意し、「忠臣蔵」と「素晴しき哉、人生!」を見直したい気持ちにさせてくれます。今の時期にぴったりの評論です。

コメントする

2008年4月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

タグクラウド

カテゴリ

アーカイブ

フッターの始まり