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「裁かれた壁 アメリカ・平等への闘い」

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AFI創設者のジョージ・スティーブンス・ジュニアは、「七十年目の審判」ではプロデュースと脚色を手がけていましたが、この「裁かれた壁」(1991年)では脚本・演出を担当しています。これも実際にあった裁判をめぐる出来事を再現した内容です。その裁判は、黒人が白人と平等の教育を受けるチャンスを得るきっかけになった事例で<ブラウン対教育委員会>として知られています。

1950年当時、サウスカロライナ州の黒人の子どもたちは、毎日何マイルも歩いて通学していました。校長や親たちは、白人と同じ通学バスを要求しますが拒否されます。その後、署名を集めてサーグッド・マーシャル(シドニー・ポワチエ)を代理に立て、分離教育が違憲であると連邦裁判所に訴えます。州側はジョン・W・デービス(バート・ランカスター)を代理に立てます。裁判は最高裁まで進み、9人の裁判官が全員一致で違憲を認める結果となります。

原題の"Separate But Equal"とは、分離教育を認めた19世紀末の最高裁判決を指しています。教育設備が平等に整えられていれば、黒人と白人を別々の公立学校に通わせても構わないという、この判決が違憲であるとして破棄されることになったわけです。

のちの公民権運動にも大きな影響を与えた、歴史的に重要な裁判の過程を描く作品ですが、ジョージ・スティーブンス・ジュニアは実に真面目に映像化に取り組んでおり、ドラマティックにするための誇張が見られません。対立する2人の法律家をポワチエとランカスターというスター俳優に演じさせるのですから、最高裁のシークエンスを丁々発止の論戦で盛り上げたくなるのが普通でしょう。

しかし、話が最高裁に移ると首席裁判官のアール・ウォーレン(リチャード・カイリー)の動きが中心になり、ポワチエとランカスターはしばらく登場しなくなります。ウォーレンは全員一致の判決を出すことを重視し、同僚を一人ずつ説得して歩きます。このくだりで、ウォーレンが机に鉛筆立てを2つ置き、一方に立てた鉛筆を他の裁判官に見立て、ひとり説得が終わるごとに鉛筆をもう一方に移していく演出がありました。この演出は、なんだかウォーレンがゲームでもしているようで、真面目に徹した作品から浮いている印象でした。

ジョージ・スティーブンス・ジュニアにとって、黒人初の最高裁判事になったサーグッド・マーシャルは重要な存在のようです。「裁かれた壁」を作っただけでなく、今度は"Thurgood"と題する戯曲を書きました。これは男優1人だけが出演する一人芝居です。2006年の初演にはジェームズ・アール・ジョーンズが出演しました。2008年3月に予定されているブロードウェイ公演にはラリー・フィッシュバーンが出演します。この舞台劇がどんな評価を受けるか、注目したいと思います。

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2008年4月

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