"The Women"
「20年目の疑惑」は、舞台劇に脚色できそうな、少人数で場所の限定されたドラマでしたが、同じく出演者が全員女性の"The Women"(1939年)も原作は舞台劇です。ブロードウェイで666回のロングランのあと映画化されたもので、これまたジョージ・キューカー監督の日本未公開作です。キューカー監督をはじめ、スタッフは男性がほとんどで、その点は「20年目の疑惑」と異なりますが、原作者クレア・ブースは女性。出演者はエキストラも含めて舞台版30人以上、映画版130人以上のすべてが女性です。
メアリー(ノーマ・シアラー)の夫が香水店で働くクリスタル(ジョーン・クロフォード)と浮気していると知ったシルビア(ロザリンド・ラッセル)は、ネイリストを使ってメアリーに浮気のことを知らせます。メアリーは、浮気の事実を確かめて離婚する決意をし、手続きを簡単にすますため、リノへ行きます。そこで、伯爵夫人フローラ(メアリー・ボーランド)とミリアム(ポーレット・ゴダード)と知り合います。シルビアがリノへやって来て、ある偶然が明かされます。さらに、メアリーはクリスタルに関するある情報をつかみ、いったん離婚した夫を取り戻す作戦に出ます。この主筋に、メアリーの母や友人などがにぎやかにからんできて、男性は一度も画面に登場しません。ほかの出演者はルシール・ワトソン、マージョリー・メイン、ジョーン・フォンテイン、ルース・ハッシー、ヘッダ・ホッパーなどです。
昔の作品で、日本語訳のついたソフトが出回ってないのに筋書きを詳しく書かなかったのは、この映画のリメイクが進行中で、リメイク版は日本で見られそうだからです。バラエティ・ジャパン11月14日付けの記事「ウィル・スミスの妻が映画監督デビュー」によると、すでに撮影は終わっているみたいです。インターネット・ムービー・データベースで調べたら、ジェイダ・ピンケット=スミスはミリアム役だそうで、メアリーがメグ・ライアン、クリスタルが「最後の恋のはじめ方」でウィル・スミスの相手役だったエヴァ・メンデス、「ウィル&グレイス」のデブラ・メッシングがシルビア、ベット・ミドラーがフローラとなっています。ほかに、キャリー・フィッシャー、アネット・ベニング、クロリス・リーチマンなどが出演予定。キャンディス・バーゲンがメグ・ライアンの母親を演じるらしいですが、この配役はキューカー監督の遺作「ベストフレンズ」を意識したものでしょう。
"The Women"は「フロント・ページ」より新しい戯曲ですが、再上演したり再映画化するには女性の描き方をかなりいじる必要がありそうです。香水店の店員にしろ、ネイリストにしろ、職業を持っている女性を社会がどう見ているかが、戯曲の書かれた当時と今では随分違っていると思うからです。リメイクの脚色と監督を担当するダイアン・イングリッシュは、キャンディス・バーゲン主演のTVシリーズ「マーフィー・ブラウン」をヒットさせた人なので、台詞のウィットを現代でも通じるものに変えるのはお手のものでしょうけど、今回も専業主婦メアリーに観客が感情移入できるような脚色が可能でしょうか。ダイアン・イングリッシュは映画監督は初めての経験のようで、その点も少し心配です。
なお、"The Women"は70年代と2001年の2回、ブロードウェイで再演されています。70年代はキム・ハンター、アレクシス・スミス、ロンダ・フレミング、マーナ・ロイらの出演、2001年版はシンシア・ニクソン、ジェニファー・ティリー、エイミー・ライアン、ルー・マクラナハンらの出演で、この演目には女性スターの顔見世の役割があるようです。
また、再映画化も1956年に"The Opposite Sex"(デビッド・ミラー監督)として前例があります。ただし、このときは男性の役も画面に登場したようです。このバージョンの出演者は、ジューン・アリスン、ジョーン・コリンズ、ドロレス・グレイ、アグネス・ムーアヘッドなどで、男性はレスリー・ニールセン、ジェフ・リチャーズなどの名前が見えます。




















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