「シンデレラ」
"The Women"(1939年)の出演者には、バタフライ・マックイーンなどの黒人女優も含まれていますが、メイン・プロットにからんでくる重要な役ではありません。1956年の最初のリメイク版についてはよくわかりませんが、おそらく重要な役はすべて白人スターが占めているでしょう。メグ・ライアン主演の最新リメイクには、ヒスパニック系のエヴァ・メンデスとアフリカン・アメリカンのジェイダ・ピンケット=スミスが重要な役回りで出演するようです。
似たパターンとして、レジナルド・ローズ作の「十二人の怒れる男」があります。最初の生放送のテレビドラマとヘンリー・フォンダ主演の映画版で陪審員を演じたのは全員白人の男優でした。しかし、1997年にTVムービーとしてリメイクされたときは、黒人俳優が4名、ヒスパニック系が1名含まれていました。それでも陪審員が全員男性という点は同じで、冒頭に登場する裁判官を演じたメアリー・マクドネルだけが女性でした。被告の少年がヒスパニック系という設定は最初から変わってないようです。この作品は舞台でも上演されていますが、そのキャストが白人ばかりかどうか、ちょっと調べただけでは分かりませんでした。
この2つのケースは、実社会の構成比を配役に反映させた結果、白人ばかりではなくなったのでしょう。実力・人気を備えた白人以外のスターが増えてきた結果でもあると思います。次のケースは少し事情が違います。
「南太平洋」や「サウンド・オブ・ミュージック」で有名なリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世のコンビが、テレビ向けに「シンデレラ」のミュージカル版を書き下ろしました。最初のバージョンはジュリー・アンドリュース主演で、1957年3月、「マイ・フェア・レディ」の舞台に出演中だった彼女が1日休んで出演し、生放送されました。その後、1964年にレスリー・アン・ウォーレン主演でリメイクされました。この2つのバージョンは白人中心のキャストでしたが、1997年に作られたバージョンはブランディの主演で、肌の色を無視したキャスティングが特徴でした。シンデレラは黒人、継母は白人、意地悪な姉たちは1人が黒人で1人が白人、王子はフィリピン出身のアジア系、王様は白人、王妃は黒人という具合です。これはおとぎ話の映像化だから出来たことでしょう。舞台では白人を想定して書かれた役を黒人俳優が演じることも珍しくありませんが、映像はリアリズムが足を引っ張るので、ブランディ版「シンデレラ」のような例はまれだと思います。
ブランディ版は、字幕版と吹替版がBSで放送されていたのを見ましたが、VHSやDVDは出ていません。レスリー・アン・ウォーレン版は日本に入ってきたことはないようです。ジュリー・アンドリュース版もそれは同じですが、輸入盤CDでサウンドトラックが簡単に入手できます。わたしもそれを持っていて、小冊子の解説を読み、生放送だったのでこのバージョンの記録は残ってないものと思い込んでいましたが、最近になってモノクロのキネコが発見されたと聞いて驚きました(57年当時に普及していたテレビはモノクロでしたが、放送はカラーだったのだとか)。その映像に存命の関係者たちのインタビュー映像を加えたDVDがアメリカで発売されています。日本語版をぜひ発売してもらいたいです。




















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