ミニシリーズ「セレブリティー」
「有名になる方法教えます」を見ていて気になったことがありました。字幕に何回か<セレブ>という表現が出てきたのです。最近、乱用されている言葉ですが、50年前に作られた映画の字幕に使うのは控えてほしかったです。<有名人>でも文字数は同じですし、画数が多くて見にくい漢字はひとつもありません。
ウディ・アレン監督の「セレブリティ」(1998年)が公開されたころ、カタカナのセレブやセレブリティが広く使われていたかどうか記憶にないのですが、映画についてもあまり記憶に残っていません。ケネス・ブラナ扮する主人公が小説家志望で、理想の短編小説はアーウィン・ショーの「80ヤード独走」だという台詞があったことは覚えています。パンフレットはタブロイド新聞を模して作られていて、メラニー・グリフィスの写真が大きく使われていました。もうひとつ、ミュージカルで有名なビビ・ニューワース(「シカゴ」のヴェルマ役でトニー賞をとったばかり)が、バナナを使ってジュディ・デイビスにフェラチオの仕方を教える娼婦の役で無駄遣いされていたことも思い出せました。
わたしがセレブリティーという言葉を覚えたのは、テレビのミニシリーズがきっかけでした。93年か94年ごろ、テレビ東京で年越し番組として放送されていた「セレブリティー」がそれですが、今回調べてみると1984年の作品だということです。わたしが見たのは再放送だったのかもしれませんし、塩漬けにされていたのかもしれません。
ジョセフ・ボトムズ、ベン・マスターズ、マイケル・ベックの3人が高校卒業の記念に登山をして山小屋に泊まったとき、女性をレイプする事件を起こし、それを闇に葬ります。3人は秘密を抱えたまま別の道を歩んでいき、それぞれに有名になります。ボトムズはフットボール選手として大成できなかったものの、俳優に転向して成功。マスターズはジャーナリストとして活躍。ベックはテレビ伝道師になります。3人の浮き沈みと並行して山小屋の事件のその後が描かれ、大団円では法廷の場に3人が集められることになるわけです。ベストセラー狙いの扇情小説を忠実に絵解きしていくような作りで、決して名作などではありませんが、ハッタリのきいた場面がところどころにあって印象に残っています。たとえば、ベックが壁に描いたキリストの絵が涙を流しているように見える現象が起きて、ベックが教祖にまつりあげられるくだりがありました。また、ボトムズは確かバイセクシャルの設定で、妻子がありながら付き人として傍にいる男性とも関係を持っていて、その行為をカーテンの隙間から息子が見てしまう場面もありました。その息子を演じていたのが子役時代のリバー・フェニックスでした。脇役が充実していて、ハル・ホルブルック、ジェームズ・ホイットモア、クロード・エイキンズ、ネッド・ビーティ、デビー・アレン、ダイナ・マノフ、テス・ハーパーなどが出演していました。
「レッサー・エヴィル」(1998年)という映画は、主役を男4人にして、もっと真面目に過去の犯罪が現在に及ぼす影響を考察していました。「セレブリティー」は、松本清張の短編「顔」に似て、有名になりたいけれど顔を知られると困るというジレンマを描いた作品だと思います。セレブになることの代償は大きいのでしょう。




















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