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"Frost/Nixon"

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ピーター・モーガンは、今年のアカデミー賞で主演男・女優賞を獲得した「ラスト・キング・オブ・スコットランド」と「クィーン」の両作品に脚本家としてクレジットされています。「クィーン」はオリジナル脚本で、「ラスト・キング・オブ・スコットランド」には原作小説があり、しかもジェレミー・ブロックとの共同脚色であるという違いはありますが、アカデミー賞の歴史でも珍しいことだと思います。

離れ業的な記録を作ったモーガンに注目が集まって売れっ子になるのは当然のことでしょう。しかも、タイミングよく彼は劇作家デビューを飾っていて、その舞台"Frost/Nixon"でニクソン元大統領を演じたフランク・ランジェラがトニー賞の主演男優賞に輝きました。となれば、この戯曲に映画化の話が出るのも不思議ではありません。しかも珍しいことに、現在製作中の映画が舞台と同じフランク・ランジェラとマイケル・シーンの主演で撮影されていると聞いて、わたしはこの映画に注目しています。

舞台劇の映画化は今も昔も多いですが、同じ俳優が舞台と映画で同じ役を演じる例は少なくなっていると思います。評判の舞台というのは、チケットをなかなか買えない状態のことが多いので、舞台を見たくても見られなかった人のためにも、映画化の際はオリジナルのキャストを最優先に考慮してほしいです。映像には、フィクションの映画・テレビドラマであっても、俳優の演技を記録にとどめる<ドキュメンタリー>の役割があります。舞台しか経験がなくて、映像向けに演技の微調整ができない俳優なら映画化に当たって変えられても仕方ないでしょうが、現在はそういう人は少ないと思います。

"Frost/Nixon"は、ウォーターゲート事件で辞任した後のニクソンが、初めて応じたTVのインタビュー番組の舞台裏を描くものだそうです。インタビュアーのデビッド・フロスト(マイケル・シーン)は、イギリスですでに有名な存在でしたが、硬派路線で知られていたわけではなかったらしく、番組が成立した裏には、フロスト側にもニクソン側にも思惑・事情・計算があったでしょう。「クイーン」におけるエリザベス女王のスピーチもそうでしたが、このインタビュー番組も相当な数の人が見て記憶に残っているものなので、映画(舞台も)は結末の意外性でひっぱるわけにはいきません。結末は多くの人が知っているのですから。

映画はロン・ハワード監督が手がけています。彼の作品歴をざっと見ると、舞台劇の映画化は見当たりませんし、前作「ダヴィンチ・コード」とはまったく作風が違うものになると思われます。しかし、彼には「アポロ13」(1995年)があります。あれもやはり、誰もが結末を知っている有名な出来事を再現しながら、サスペンスたっぷりの仕上がりでした。また、脇役の顔ぶれも興味深いです。ケビン・ベーコン、サム・ロックウェル、オリバー・プラット、トビー・ジョーンズらが番組周辺の実在の人物を演じるほか、パット・ニクソン役でパティ・マコーマックが出るのだとか。あの「悪い種子」(1956年)の名子役が、やはり名子役出身のハワード監督(「ザ・ミュージックマン」「けっさくなエディ」)の演出で、どんな演技を見せてくれるのか、今から気になります。

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2008年4月

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